35歳を超えたエンジニアの5つの働き方

Tsukasa OISHI

ぼくは36歳です。けっこう大きなサイトで、RailsJavascriptを書いたり、パフォーマンス改善したり、iPhoneアプリの開発でObjective-Cを書いたりしています。マネージメントはしていなくて、今でも普通にエンジニアとして働いています。
35歳定年説の35歳を超えてから1年以上が過ぎたところですが、昔のようにはいかなくなってきたところ、昔と変わらないところ、昔よりよくなってきたところなどがいろいろあります。年を取ってもエンジニアを続けたい人の参考になるかどうかわかりませんが、そういう人たちのためにぼく個人の体験をここに書いておこうと思います。

1.理解できるまで聞き返す

特に若い人たちとの会話で痛感するのですが、相手の言いたいことを一度で理解することが難しくなってきました。最近になってよく思うのですが、若い人たちは比較的よく、主語を抜かしたり目的語があいまいなまま話をしてきます。昔はそれでも相手の言いたいことが理解できたのですが、最近はそうもいかなくて、「ごめん、もう一度言ってくれる?」と相手に言い直させることが多いです。
ただ、昔は単に相手の言いたいことを「理解したつもり」になっていただけなのかもしれない、と思っていたりもします。お互いに話が通じ合っていたつもりで後になって齟齬が表に出てくるということが何度かあったりしたので。
もし相手の言いたいことがよく理解できなかったら、ちゃんと理解できるまで聞き返すことが大事です。下手に年を取ってくると、理解できなかったことを恥ずかしく考えちゃう人がいるかもしれませんが、理解したふりをしてやり過ごしてしまうのはエンジニアとしては致命的です。

2.勉強時間を減らしてはいけない

20代の頃は、技術書を何回か読むだけでだいたい書いてあることが理解できました。ただ最近は、実際にそのコードを書いてみたりコマンドを叩いてみたり計測してみたりと、手を動かしてみてやっと理解できることが多くなりました。正直メンドくさいです(ぼくは人一倍のメンドくさがり屋です)。このあたりにも35歳定年説が生まれた要因を感じることができます。
年齢を重ねればその分だけ過去の貯金ができて、勉強しなくても仕事をする上で困ることは減ってきます。でもそれはただ単に貯金を食いつぶしているだけでいつか破綻します。時間単位あたりに習得できることは減ってきますが、だからこそせめて昔と同じ時間を勉強に使うべきです。

3.残業してはいけない

この業界では残業することが当たり前、みたいな感覚があります。ぼくも若い頃は定時で帰ることが珍しいくらいでした。午後10時くらいに帰ることを念頭に置いて、それまでにこれとこれをやればいいな、と予定立ててから仕事に取り組んでいました。
最近はできるだけ定時に帰るようにしています。なぜなら体力的に残業することがきつくなってきたからです。徹夜など言語道断です。残業できなくはないですが、終電間際くらいまで残業をすると体調が悪くなります。その体調の悪さが2,3日後を引きます。結果的に効率が悪くなって、定時で帰るときよりもこなせる仕事量が減ります。月100時間残業したときは、半年くらい調子が戻りませんでした。
そもそも、最初から残業することを見越して仕事を始めると、その残業分だけ集中力が低減します。これはぼく個人の感覚ですが、午後10時まで残業するつもりでいるときと、定時で帰るつもりでいるときのこなす仕事量に大差はありません。現在は、午後3時くらいまでに一日の8割の仕事を終わらせるように仕事に取り組んでいます(これは一日の勤務時間の半分です)。
それに年齢の高い人間がいつまでも残っていると若い人たちが帰りにくくもなるので、おっさんはとっとと帰りましょう。

4.自分の強みを知り、得意分野に的を絞る

35歳くらいになれば過去に学んできたことである程度広い範囲の知識や技術を身につけているはずです。35歳以降は、自分の得意なこと好きなことに集中して深い方向に技術や知識を伸ばしていくべきです。それが結局は自分の強みになって、35歳を超えてからもエンジニアを続けていける説得力になります。
35歳を超えてもエンジニアを続けるには何か人より秀でた部分がないとつらいと思います。ぼくはちゃんとエンジニアになったのが32歳くらいの頃なので、技術や知識も若い人たちと変わりはないくらいです。なのででより切実です。たまたま集中力が高めで実装速度が速かったりバグが少なかったりしてここまでやってこれましたが、それだけではこれから先は厳しいです。技術的な能力は衰退したりしないので、どんどん勉強していきましょう。

5.何のために働いているのかを改めて認識する

35歳という年齢は、20代の頃とは違います。何が違うのかというと、死ぬまでの残り時間がリアルになるということです。20代の頃は自分が40代になることさえ信じられませんでした。死などは遠い彼方に存在するらしいという感覚でしかありませんでした。でも今は違います。40歳、60歳、80歳の自分がリアルに感じられるし、死ぬことも身近な存在になりつつあります。何のために生きているのか、という問いも切実になります。
人生の3分の1は仕事に使います。その仕事は、死ぬときに振り返って「ああ、あれをやってきてよかったな」と思えるものでしょうか。「あんなことをやらなければよかった」と思うようなことではないでしょうか。
これはぼく個人の考えですが、結局は世の中のためみんなのために何か貢献することが生きていく価値のような気がしています。人を騙したり、誤解を与えるようなやり方でお金を稼いでいる仕事は、たとえ技術的に魅力的なことをやっていたとしても、ぼくにとっては何の価値もありません(お金を稼ぐことはいいことです。税金もたくさん納めることになって社会にも貢献できるし、給料がたくさんもらえて経済にもいい影響を与えます)。